奈緒
生産者を知ることで、お野菜はもっと美味しくなることに最近気づきました!
こんにちは、ナカヤの奈緒です。
ナカヤで働くようになってから私は作り手さんと直接お話をする機会が多くなりました。
その中で、誰が、どこで、どんな想いで作ったものなのかを知ることで、不思議とお野菜の味まで変わってくることに気がついたんです。
ナカヤで販売しているお野菜の多くも、生産された県まではわかりますが誰が作ったものなのかまでを知ることはできません。でも、数は少ないですが生産者を知ることのできるお野菜もあります。
今回はそんなお野菜の中から、三日市場店のそばでお野菜をつくっている岡部さんの畑にお伺いし、野菜づくりへの想いについてお話をお聞きしてきました。
ナカヤのお客様にも、ぜひ岡部さんのことを知って欲しくて。
そしてこの記事を読んだ後に、ぜひ岡部さんのお野菜を召し上がってみてください。きっとお野菜の味が違っていることに気がついていただけるはずです。
岡部さんとの出会い
私たちが岡部さんと初めて出会ったのはナカヤ勝沼店。ある日、岡部さんが飛び込みで営業にいらっしゃったのです。
「作った野菜を置いて欲しい」
お話を聞けば、山梨市の畑で無農薬・減肥料、時に無肥料で1人で野菜を作られているとのこと。
地元で作った野菜を地元の方に食べていただきたい。そのためにはここで野菜を売って欲しい。
そう語る岡部さんのお話を聞き、2つ返事で取引は始まりました。
地元に貢献したいというナカヤの想いとも重なったのです。
そして最初はジャガイモ、人参など、ごく少量のお野菜から取引がスタートしました。
公務員から農家へ転身
山梨市三富に在住の岡部さんは元々公務員でした。今から5年ほど前、50歳を迎えた頃に仕事を辞め農業の道へ入られたそうです。安定した職を捨ててまで農業の道へ進んだ岡部さんにその経緯を伺いました。
岡部さん
いや全然していなかったです。父親はサラリーマンの傍ら、家で食べる野菜を無農薬でつくっていたので子供の頃その手伝いはしてましたけれど。その程度です。
岡部さん
以前、ゴーヤを自分で育て始めたんです。それが意外と上手くいって、次はニンジンを作ってみようと。ニンジンて発芽率がすごく低くて最初なかなか発芽しないんだけど、発芽した時がすっごく嬉しくてね。あとは、ニンジンができてきて引っこ抜いたときのにおい。今でもはっきり覚えてます。それで趣味が高じて自分なりに本やネットで野菜のことを色々調べるようになりました。環境や自然に興味を持ち始めたのもこの頃で40代中ごろだったかな。
岡部さん
そんなすぐにではないですよ(笑)世間でいう人生折り返しの頃でした。もともと、好奇心癖や悩み癖がありまして。その頃、いろんな考え事が重なったんです。この先の人生、家族、自然環境のこと、食糧自給とか産業革命とか色々。それに、ほぼ同じ時期に両親が認知症を発症しまして。やりたいことを人生の仕事にしようと気づき始めた頃で、いい機会だと思いまして。
奈緒
奧様に止められませんでした?安定した仕事を辞めるなんて、、、
岡部さん
このまま定年まで役所にいていいものか色々考えてて。カミさんは、反対してたと思います。でも、悩んでる私の気持ちに寄り添ってくれたんじゃないかなぁって思います。あと、役所の仕事は、時に楽しかったし、私にたくさんの知識を与えてくれましたから今でもその経験に感謝しています。
奈緒
農業一本で食べていくことに不安はありませんでしたか?
岡部さん
不安が無かった、と言えば嘘になりますが、自分なりに家庭菜園での経験もありましたし、うちの近くで有機農法で野菜づくりをしている方がいて、その方に指導してもらったりしています。役所をやめるかなり前から、日本でも有名な有機野菜農家にボランティア研修に行ったり、自分なりに何回も作付けや販路のシミュレーションをしたり準備はしていました。二人の子供の義務教育も終わったことだし、思い切って野菜づくりを仕事にする事にしました。
公務員という安定したお仕事を辞め農業一本で食べていくことを決意した岡部さん。公務員を辞めると聞いて、つい女性目線で深掘りして聞いてしまいました(笑)
野菜づくりスタートも、思うように売れない時期も
その後、岡部さんは地元でお父さんの残してくれた小さな畑で野菜づくりをスタートします。そして「本格的な畑が欲しい」と知人に相談。紹介してもらったのが塩山にあるこの畑なんだそうです。
奈緒
この畑で採れた野菜を持ってナカヤに営業に来てくれたんですね。
岡部さん
そうです。
退職してすぐ、桃栽培もしてみました。その傍ら野菜をつくっていたんですが、固定種野菜や種のことが頭からずっと離れなくて。それをちゃんとやってみようと思うようになりましたね。そして野菜づくりを始めた頃からずっと考えていたんですが、畑で作った野菜を一番早く食べてもらうにはどうすればいいか、と。それにはその畑に一番近いお店がいいなって。で、ヤカヤさんで売りたいなーって思ったんです。
奈緒
ナカヤも地元の野菜を地元の方に食べて頂きたいと思っていましたのでとても良いご縁でした。
岡部さん
ずっと昔から人間は、一里四方のものを食べていると長生きできるって言われているんですね。旬の時期にとれた野菜を、瞬時に食べれば、きっとみんな健康になれるだろうと思っていたので畑に近いナカヤさんで売ってもらって近くの方に食べてもらいたいな、と考えたんです。
奈緒
最初から、売れるくらいお野菜が収穫できたんですか?
岡部さん
いやー、無理無理。最初なんか1個とか2個とか(笑)どうすれば上手に発芽するのかとか、考えながらネットや本で色々調べてね。ちゃんと収穫できるようになったのはほんと去年くらいからですよ(笑。今でも試行錯誤の毎日です。
奈緒
お店に置いた素ごぼう(大浦太ゴボウ)も、最初は「何これ?食べられるの?」というお客様の反応でしたね。
岡部さん
あー、あのごぼうね!そう売れなかったですね(笑) 太くて中が空洞になってて、人の足くらい太いですからね。それにどこにも売ってないから。
お話の中にあった素ごぼう。本当に美味しいんですが、今までに見たことのない形をしているんです(笑)他にもイボがたくさんあるきゅうりとか。でもスタッフが食べて美味しかったレシピをお客様にお伝えするなどオススメしていくうちに、岡部さんのお野菜ファンが次第に増えていきました。
岡部さんの目指す野菜づくり。無農薬・無肥料への挑戦
岡部さんの作られるお野菜は全て無農薬、そして減肥料で育てられています。今は、無肥料栽培も試されているそうです。岡部さんの野菜づくりへのこだわりについて伺いました。
岡部さん
実は一度だけ農薬撒いたことがあるんです。牛乳です。始めた頃、アブラムシにソラマメがやられそうになりまして。砂糖を混ぜた牛乳をアブラムシにかけた事があります。本で調べたら、牛乳をかけた後水分が蒸発してアブラムシが窒息死するってあったから。でも、ソラマメは全滅でした。今年もソラマメは全滅。でもそれ以来、牛乳はもちろん化学的に合成された農薬や除草剤さえも一切使っていません。
奈緒
無農薬はなんとなくわかるんですが、肥料なしでも美味しい野菜って育つんですか?
岡部さん
最初は肥料として鶏糞なども少し使っていました。いわゆる有機農法ですね。その後も病害虫に悩まされました。何とか打開する方法がないかと自然や植物の仕組み、原産地の気候なんかを本やネットでもう一度調べてみたんです。そして以前から気になっていた固定種野菜や、種を自家採種している農家があることを思い出して。タネを毎年採取して種まき、苗づくりから育てていけば、だんだん野菜は育ったその土地の自然と環境に馴染んでいくんだっていうことを実際にやっている人がいて、それを試してみようと思ったんです。
奈緒
タネを採取して、畑の環境に馴染んだお野菜なら肥料もいらなくなるということですか?
岡部さん
あくまでも私の発想と実感ですし、まだ試験中ですけど。そうすれば経費も浮くしね(笑)
野菜づくりに関して知識のない私は「肥料をあげたほうがお野菜もどんどん大きくなるのでは?」と簡単に考えていました。そんな私ですから「タネを採取し苗から育てることで農薬も肥料も使わずに済む」という岡部さんの栽培スタイルを最初はうまく理解することができませんでした。
タネを採取することで農薬や肥料がいらなくなるとはいったいどういうことなんでしょう?
岡部さんによると、植物には私たちの想像を超える力強い生命力があるそうなんです。
とっても興味深いお話の続きは、次回ご紹介したいと思います。
岡部さんの作るお野菜
GOODIESナカヤでは、岡部さんの畑で採れたお野菜をそのまますぐに納品・販売しています。
しかも「たくさんの方に美味しい地元の野菜を食べて欲しい」そんな岡部さんからの要望で、岡部さんの無農薬野菜はとてもお値打ち価格。専務も「もう少し高くても大丈夫ですから」って逆にお願いしているくらいなんです。
岡部さんの作るお野菜をいくつか紹介しておきます。(季節により採れるお野菜は変わります)
近くで採れた新鮮な岡部さんのお野菜をぜひご堪能ください。
黒田五寸人参
人参好きにはたまらない人参臭さが特徴。冬が旬。柔らかくて甘い。
大浦太ゴボウ
見た目が悪いけど、「ス」がはいっていて柔らかい。煮物・甘辛煮。肉詰め料理。
打木源助大根
食べきりサイズのちっちゃい大根。煮物とか柔らかくて美味しい。
日本ほうれん草
冬の霜に当てたほうれん草は糖がのって甘い。
早生真黒茄子
皮が薄くて柔らかい。果肉も柔らかい。
神田四葉きゅうり
見た目はイボイボで曲がってて悪いんだけど身が締まってて香りが強い。年配の人方に言わせるとキュウリ臭い。
グディーズナカヤで岡部さんのお野菜を見かけたら是非匂いを嗅いでみてください。
岡部さんのいう「野菜臭さ」の意味がわかるかもしれませんよ!?