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無肥料・無農薬で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる!!-岡部さん PART_2

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1

前回に続き、三日市場店のそばでお野菜をつくっている岡部さんの野菜づくりへの想いについてお話をお聞きしてきました。

前回までのお話はこちら

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1

目次

植物のタネが持つ可能性

岡部さんの畑では採取したタネから苗を作るようになってから、肥料がほとんどいらなくなったそうです。

岡部さんのお野菜が美味しい理由も、ほとんど肥料をあげなくてもお野菜がしっかり育つ理由も、全てこのタネにあると岡部さんは言います。

植物のタネには、私たちの想像を超える可能性があるそうなんです。

奈緒
奈緒
野菜のタネは毎年購入して蒔くものだと思っていました。
岡部さん
岡部さん
この畑で育った野菜の種は、この畑に蒔いてあげないとかわいそうじゃないですか(笑) せっかく親からもらった情報がタネには入っているんですから。命を繋いでいるんだと思うんです。だから、種まきして苗を育てる培土もなるべくこの畑の土を使っています。
奈緒
奈緒
去年の作物がタネの中に情報を残していくということですか?

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1

岡部さん
岡部さん
伝統野菜の大豆なんかいい例ですけど、その土地で何代もタネを採って育てて収穫を重ねていますよね。すると自ずとその土地に適した品種になる。きっとそれぞれの野菜はその土地や環境に適応しようとする能力をもっているんだと思うんです。
奈緒
奈緒
環境に適応しようとする進化のスピードが動物などに比べて早いということでしょうか?

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1

岡部さん
岡部さん
進化とは違うと思うんです。たとえば人間や動物は暑かったら涼しい場所へ移動すればいいし、水を飲めばいいでしょ? でも植物は動けないから、その地でずっと生きながらえるために、なんとかタネを作って子孫を残そう、繋ごうという思いがあって、その思いは人間や、動物以上にたくましいし、その力が強いんだと思うんです。
岡部さん
岡部さん
動けないからこそ、その土地の自然環境に合わせる力を持ってる。時には、風や虫の力を借りてタネという子孫を残していくんです。そして、何年もかけてその土地に適応していくんだと思います。タネなんて本当に小さなものですがバカにできないんですよ。
奈緒
奈緒
なるほど、土地や気候の情報が子孫に受け継がれるんですね。

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1

岡部さん
岡部さん
この土地は雨が少ないぞ、風が強いぞ、気温はいつ頃から高くなるぞ、など、親から自然環境の情報を受け継ぎながらその土地に適応していくんです。だから、その土地で採れたタネを同じ土地に蒔いてあげることで、肥料なしでもしっかり育つ野菜ができるんだと思うんです。

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1

岡部さん
岡部さん
この畑は、借りる前、三年くらい何もつくっていなくて、その前はブドウ畑だったんです。私が借り始めてから、稲ワラ、腐葉土しか入れてなくて、ほとんどが肥料なしで育ててきています。ちなみに、稲ワラは減農薬でコメを栽培している友人からのものですし、腐葉土は三富の山のものです。今シーズンは白菜や大根のタネ採りにも挑戦してます。ゆくゆくは100%この土地のタネにできたらいいなって思っています。


今、岡部さんの畑で作られる野菜の8割はこの土地で取れたタネから作られています。

タネが情報を子孫に伝え、その土地と風土に合ったお野菜ができるという話はとても興味深いものでした。とはいえ、無農薬、減肥料でお野菜を作るには相当な苦労があるのではないかと思うのですが、、、

農薬を使わずに野菜を作る苦労は?

奈緒
奈緒
無農薬や減肥料でお野菜を作っていて苦労した点はありますか?
岡部さん
岡部さん
ないですね

奈緒
奈緒
ないんですか?無農薬栽培って難しくて手間がかかるイメージがあるんですけど、、、
岡部さん
岡部さん
だって面白いもの。面白いし、深いじゃないですか。大変だけれども面白いから。あとは昔から虫とか植物が好きだったっていうのもあるし。実験の毎日です。

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1

奈緒
奈緒
虫とかに葉を食べられたりしないんですか?虫対策に手間が多くかかるとか、、、
岡部さん
岡部さん
それがあんまり悩まされないんですよね。想像なんですけどさっき言ったように、この土地でタネ採りをしてるからだと思うんです。それから肥料を入れてないからだと思います。まぁ偶然もあるかもしれませんけどね(笑)

奈緒
奈緒
肥料を入れないと虫も来ないんですか?
岡部さん
岡部さん
本によるとね、肥料に含まれる窒素が葉っぱや茎にいっぱい溜まっていってそれに虫が寄ってくるらしいんです。うちでは、ほとんど使ってないから虫が寄り付かないのかもしれない。
岡部さん
岡部さん
あとはね、この畑の中で生態系が崩れないようにもしてます。埼玉の有機農家さんに体験ボランティアした時の、その畑を手本にしているんだけど。その人の畑は、きゅうり・サニーレタス・ニンジン・ナスなど、ありとあらゆる野菜が混在して作られてるんです。すごい非効率ですよね。でもこれが生態系を保ってて、虫が単一栽培の畑ほど寄って来なくなるみたいです。
岡部さん
岡部さん
まあ、そうはいっても虫は来るんで、ナスの隣りに虫除けになるネギを植えたりとかしてます。

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1
ナスの横にネギを植えることで自然の虫対策になるんだそうです

臭い野菜?! 防衛本能を生かした野菜づくり

奈緒
奈緒
岡部さんのお話を聞いていると、害虫対策がとても簡単に聞こえてしまうのですが(笑
岡部さん
岡部さん
もちろん、虫も全く来ないわけじゃないですが、野菜が持ってる抵抗力みたいなものが年々高まってるなーっていうのは感じますね。
岡部さん
岡部さん
ここ数年ブロッコリーを作ってるんですけど、去年くらいまでは青虫に食べられることが多かったんですが、今年はなぜかほとんど食べられていない。ニンジンの葉っぱなんてアゲハチョウの幼虫の一番の好物なんですが、どうゆう訳か、今年はほとんど来ない。ただね、その代りにニンジンが臭い(笑)

奈緒
奈緒
人参が臭い?(笑)

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岡部さん
岡部さん
ニンジンの香りがプンプンするんです。なんで人参てこんなに臭いのかいろんな本を読んで調べたら野菜が持つ防衛本能みたいなんです。農薬を使わないから、人参が虫に食べられないように自分で匂いを出すらしいんですね。
岡部さん
岡部さん
青いトマトには毒があるって言われますよね。毒はトマトの花にもあって一番含有量が多いらしいです。種をつくるために花は大事ですもんね。この毒がトマトの防衛本能なのかな。彼らは、人間よりも生命力が強いんです。とにかくすごい。植物って。

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岡部さんの言う「臭い人参」どんな臭いがするのか嗅がせて頂きました

奈緒
奈緒
そうなんですね。でも岡部さん、ニンジンが臭い臭いって言うと、売れなくなりませんか?(笑)
岡部さん
岡部さん
人参好きにはこの匂いがたまらないらしいですよ(笑) 香りが強いって言えばいいかな?
奈緒
奈緒
ニンジン好きの方にはぜひ岡部さんのニンジン食べてほしいですね!

農業のやりがいって何ですか?

岡部さんにお話を伺って思ったのは「野菜作りが大好きなんだなー」と言うこと。本当に楽しそうに野菜のことを私たちにお話ししてくれました。

最後に岡部さんに農業のやりがいについてお話を伺いました。

奈緒
奈緒
岡部さん、お野菜作りで一番のやりがいって何ですか?
岡部さん
岡部さん
それはね、みんな一緒だと思うけど、野菜が美味しいって言ってもらった時には本当に嬉しいし、やりがいを感じますよね。

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1

岡部さん
岡部さん
以前、『神田四葉きゅうり』という見てくれの悪いキュウリを作ったの。近所の少し年配の人に分けてあげたの。次の日『うまいねーあのキュウリ。またある?』ってすごく喜んでくれて。ナカヤさんの店員さんにもね『岡部さんの大根、おいしいから買い占めちゃった!』って言われたりすると嬉しいですよ。美味しいって言ってもらえるのが一番ですよね。あと、やっぱり発芽したときかな。土から顔を出したとき。つい、はじめましてって声かけちゃいます。

奈緒
奈緒
うちの子もほうれん草一切食べないんですけど、岡部さんのほうれん草だけは食べるんですよ(笑)スタッフの3歳のお孫さんも一緒で、岡部さんのほうれん草だけは食べるんですって!甘いから子供でも食べやすいんでしょうね。
岡部さん
岡部さん
あーそれは嬉しいですね

奈緒
奈緒
あと、素ごぼう(大浦太ゴボウ)!すごい太くて中に穴が空いてるんですけど、スタッフも大好きで。食べ方をお客様に説明して購入していただいたりとても好評なんです。
岡部さん
岡部さん
成田山の新勝寺の精進料理に使われてるゴボウなんです。見た目が悪いから最初全然売れなかったやつですよね(笑)

奈緒
奈緒
サニーレタスも脈がすごいしっかりしてますよね。野菜自体がすごく生き生きしてて。
岡部さん
岡部さん
大浦太ゴボウもサニーレタスも固定種のタネを買って種採りして、三富の畑で育てたものは無肥料だしね。肥料が少ないと野菜は野菜本来の味が出て来るようになるんですかね。
岡部さん
岡部さん
今、世間で作られてる野菜のほとんどが我々人間に都合よく品種改良されたものなんですね。やたら甘かったり、長距離運ぶのに耐えるために皮が厚かったり真っ直ぐだったり、長さが同じだったり。でも、うちの野菜は姿かたちはバラバラです。人間だってみんな違いますもん。でも野菜本来の味なのかなぁ。

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1
岡部さん
岡部さん
それから、旬の野菜の栄養価って、旬じゃない時に比べて2倍も3倍も高いって本で読みましたよ。だから、近くの畑で採れた旬の野菜をすぐに食べられるってすごくいいことだと思うし、昔はそれがあたりまえだったんでしょうね、きっと健康にもいいんだと思います。

奈緒
奈緒
 お客様も岡部さんのお野菜を楽しみにしてますので、これからも野菜づくり頑張ってくださいね。今日はありがとうございました。
岡部さん
岡部さん
こちらこそ、ありがとうございました。

岡部さんの作るお野菜

GOODIESナカヤでは、岡部さんの畑で採れたお野菜をそのまますぐに納品・販売しています。

無農薬・減肥料で野菜作りに挑戦する農家さんインタビュー | 種の持つ可能性を信じる-岡部さん PART_1

しかも「たくさんの方に美味しい地元の野菜を食べて欲しい」そんな岡部さんからの要望で、岡部さんの無農薬野菜はとてもお値打ち価格。専務も「もう少し高くても大丈夫ですから」って逆にお願いしているくらいなんです。

岡部さんの作るお野菜をご紹介しておきます。(季節により採れるお野菜は変わります)
近くで採れた新鮮な岡部さんのお野菜をぜひご堪能ください。

黒田五寸人参

 人参好きにはたまらない人参臭さが特徴。冬が旬。柔らかくて甘い。

大浦太ゴボウ

見た目が悪いけど、「ス」がはいっていて柔らかい。煮物・甘辛煮。肉詰め料理。

打木源助大根

食べきりサイズのちっちゃい大根。煮物とか柔らかくて美味しい。

日本ほうれん草

冬の霜に当てたほうれん草は糖がのって甘い。

早生真黒茄子

 皮が薄くて柔らかい。果肉も柔らかい。

神田四葉きゅうり

見た目はイボイボで曲がってて悪いんだけど身が締まってて香りが強い。年配の人方に言わせるとキュウリ臭い。

本日のお買い得商品