「おばあちゃーん、遊びにきたよー♪」
「おお、よく来たねえ 」
昔、おばあちゃん家に遊びに行くと、お菓子がたくさん盛られた器があって、このお菓子がよく入っていました。
『栗しぐれ』
きっと誰もがどこかで目にしたことのあるお菓子の定番中の定番。この栗しぐれの全国出荷数1、2を争う製造メーカー鈴木製菓が、この山梨県にあります。
今回は、甲府市下曽根町 食品工業団地の中にある鈴木製菓さんの工場に行ってきましたよ♪
社長にズバッとインタビューさせていただいて、禁断の⁈質問もぶつけてきました♡
さらに工場で、栗しぐれ大行列の実況もお届けいたします。
お楽しみに~♪
目次
『栗しぐれ』鈴木製菓社長インタビュー!
山梨に栗しぐれが誕生したのはなぜ?
社長:
栗しぐれは、もともと長野の飯田で作られていたお菓子なんです。
その昔、旅問屋と言って、各地のお菓子を仕入れて旅をしながら売り歩くおじさんがいましてね。長野の飯田に栗しぐれというお菓子があって、すごく売れているから鈴木さんでも売ったらどうか?と提案してもらいまして。
そこで実際に長野の飯田へ見学に連れて行ってもらい、山梨でも作ってみようと思ったそうです。それが50年前に鈴木製菓で栗しぐれを作り始めたきっかけですね。
数十社あった製造会社も今は数件に
社長:
昔は全国に『栗しぐれ』業者がたくさんあったんです。一時は『栗しぐれ』という商品を製造していた会社が、全国で数十社もあって、甲府だけでも鈴木製菓以外に2社ありました。
でも今では、数が減り全国でも栗しぐれを作っているのは数件になってしまいました。もともとの発祥の地、飯田でも少なくなってしまいました。
毎日2万袋を生産!鈴木製菓のこだわりとは?
社長:
他のお店はあんこを製餡業者さんから購入していましたが、うちではあんこを自社で作ろう!ってことになりました。その方がいいあんこができるに違いないと。
そこで先代が弟を誘い、あんこから製造まで自社で一貫して作る体制を作りました。そこが他社とは違う点かもしれません。
1日1トンの豆を炊くと、2トンのあんこができます。それに砂糖と水飴を混ぜると3トンの栗しぐれができます。
今では毎日、2万袋を生産・出荷しています。
社長:
こんなに誰が買うんだろう? って栗しぐれの山を見るたびに思います (笑
栗しぐれが長く愛される理由
社長:
山梨県内への出荷は3%くらいで、後の97%は県外へ出荷しています。北海道から九州までどこに行っても鈴木製菓の栗しぐれを見つけられると思いますよ。
青森のねぶた祭りへ行った際にも、近くのスーパーで山積みにして売られていました。
以前は、夏の7~8月は出荷数も少なかったんですが、東北ではお盆の時期に栗しぐれをよく買ってくれるので、今は夏が出荷のピークになるほど東北でも愛されているお菓子なんです。
社長:
栗しぐれは、個性がないのが個性で、シンプルなお菓子だからこそ長く愛されているのかな、と思います。パッケージも昔からほとんど変わっていないです。昔のままで。
何も変わらないベーシックな商品ですから、爆発的に売り上げが伸びるとかはないですが、だからこそコンスタントに長く愛されているロングセラー商品なのかなと思います。
栗しぐれ禁断の質問
では、ここからは鈴木製菓の社長さんに、『栗しぐれ』について個人的にめちゃくちゃ気になっていた質問をぶつけさせていただきます!
京桃山って何ですか?
社長:
「桃山」というのは、もともと京都にあった白餡に水飴や葛を入れて焼き上げたお菓子です。それに似せて作ったのが『京桃山』というお菓子です。
実は中身は栗しぐれとほとんど一緒なんですよw
ただ、『京桃山』は、栗しぐれに比べて卵黄を少し多く使っています。
栗しぐれが好きという方は、ぜひ『京桃山』も召し上がってみてください。
また京都でも『栗しぐれ』と『京桃山』を販売していますが、他の地域に比べて京都は『京桃山』の売れる割合が多いですよ。
肝心のアレが入っていないのはなぜ?
社長:
なんでしょう?
社長:
はい……
社長:
……
社長:
……わかりました。お話ししましょう。
10年くらい前にお客様から『栗しぐれ』って書いてあるのに栗が入ってないというお問い合わせがあったんですね。それで、県庁の消費者センターに聞いたんです。
すると
『栗しぐれ』なんて僕らも子供の頃から食べてるお菓子だから大丈夫ですよ
なんていうんですね。
念のために公正取引委員会にも確認してみたんですが、これから新しく作るお菓子なら栗は入れた方がいいと指導しますが、40年も前からあるお菓子で、栗が入っていないという認識が既に広がっている商品ですから問題はない、という話でした。
お菓子って、本来果物のない季節にその果物に見立てて作ったのが起源なんです。ですから、果物の果の字に草かんむりをつけるとお菓子の菓の字になるんですね。逆に果物が入っていないのがお菓子の正解なんじゃないかと思っています。
とはいえ、、、
社長:
10年くらい前から
実は栗ペーストも入っているんですよ。
色々と問題になっても困りますから(笑
社長:
はい、入ってます。
それと、同じジャンルで栗煎餅ってありますよね。昔は栗煎餅にも栗は入ってなかったんですが、今は少しだけ栗も入っているそうですよ。
社長オススメ!栗しぐれのちょっと変わった食べ方とは?
社長:
ありますよ。
社長:
天ぷらです。
社長:
芦川村に住んでいる昔ながらの栗しぐれのファンのおばあちゃんがいましてね。
高齢になり、栗しぐれを購入するために外出するのも難しくなった今、月に一度、自宅まで栗しぐれを届けいているんです。そのおばあちゃん、栗しぐれを天ぷらにしてご近所さんに配っていて、これが美味しいんですよ!
作り方は簡単、衣をつけて油で揚げるだけ。よかったらやってみてください。
栗しぐれに新バージョンが登場?!
社長:
よく「栗しぐれだけでやっていけるね?」なんて社長仲間に言われるほど、たまにどら焼きを作る以外ほとんど『栗しぐれ・桃山』1本でやってますが、でも、今後は新しいことにもチャレンジしていきます。
近く『栗しぐれ』の新バージョンも出す予定ですのでぜひ試してみてください。
社長:
自社であんこから製造しているので原料の豆が高騰している現在は経営的には大変ですが、餡は栗しぐれの最も大事な要素ですから、品質だけは落とさないよう努力しています。
社長:
では、工場へご案内しましょう。
いざ、工場見学へ!
さて、社長にいろいろとお話を伺ったところで、いよいよ栗しぐれを作っている工場を見学させていただきます!ワクワク♪
まずは、帽子をかぶり、白衣に着替え、手を洗って準備です。
工場の奥へとレッツ ゴー♪(古い)
こちらは小豆を茹でる機械。毎日1トンの小豆がここで茹でられるんですって。
熱心に教えてくれる鈴木社長。
茹で上がった小豆に砂糖や水飴などを混ぜる作業です。
こちらが出来上がったばかりの白餡♡とってもクリーミー♡このまま食べたい!
小豆を圧縮して水分を抜く作業です。小豆から水分が抜け、餡が固形っぽくなってきます。
ぎゅーっと押し固められて餡子から水分が抜けていきます。
固まった餡を袋に入れて、次の工程へ~♪
餡を右上の機械にいれて成形していくと……おー!ポテッとした可愛い生の栗しぐれがたくさんできていきます♪
わお、栗しぐれの行列です♪めちゃくちゃ可愛い♡
栗しぐれの大行進♪こういうの見るとテンション上がりますよねー♪
見よ!この整然とした栗しぐれ!
そして次は何やらくらい箱の中へ吸い込まれていく栗しぐれたち。さよなら、栗しぐれ……
入った先はなんと、20m以上つづく焼き釜でした!この中でじっくりと時間をかけて焼き上げられていくんですね~。
こんがり美味しそうに焼き上がった栗しぐれが続々と出てきます!
美味しそー♡
あまりに欲しそうな顔をしていたのか、出来立てほやほや♡熱々♡の栗しぐれを1ついただきました♡
こんなアツアツの栗しぐれを食べるのは初めて!
いやーめちゃくちゃ美味しい♡
そして、テーマパークのアトラクションのごとく、滑り台を駆け落ちて、次の工程へ進む栗しぐれたち。
出てくると、ちゃんと個別に包装されて出てくるんですよ♪これはよく見たことのある姿!
手に持つと、まだほんのり温かい栗しぐれです♡
ここで最終的に包装されて完成!全国へ出荷されます。
本日の『栗しぐれ』まとめ
いやあ、栗しぐれが全国で、なぜ超ロングランで愛されているか、なぜ3万トンもの栗しぐれを、毎日作っても売れつづけているのか、社長へのインタビューで納得しました。
あんこへの愛情が製造当初からハンパなかったですね!あんこにこれだけこだわってきたから、美味しくて、ロングセラー商品になっているんですね♪
ぜひ、栗しぐれをスーパーで見かけたら、山梨の工場生まれの栗しぐれたちが、全国で愛されているってことを思い出してくださいね♪
以上、グディーズナカヤのNaoがお送りいたしました!
……追伸
ちなみに、この取材の後日、調べたところ栗しぐれの天ぷらのこと、私の周りにも食べ方を知っている人が、意外と多くいたことが判明!
山梨では昔から愛されている食べ方だったみたいです。
皆さんもよかったら、『栗しぐれ』の天ぷら、試してみてくださいね♪