最近、花粉症や喘息、食物アレルギーなど、様々なアレルギーが注目されるようになってきました。
特に子どもに多く、花粉症用の保護メガネをしながら保育園に通う子にもよく会いますし、学校での食物アレルギー問題なども耳にします。
昔はこんなにいろいろ聞かなかったのに…と思っていたら、実際、急激に増えているようなのです。
今回の記事では、どのくらい増えているのか、なにが原因でアレルギーになるのか、改善方法はあるのかなど、インターネットの情報をベースに私なりに調べてみたいと思います。
目次
そもそも、アレルギーって?
まずはアレルギーとは何なのかを今一度、確認しておきましょう。
アレルギーはなぜ増えたのか?
アレルギーとは、「生体が以前に暴露して感作された物質(アレルゲン)に再度接触することによって引き落とされる局所又は全身の反応」と定義されています。特に、生体にとって本来無害なはずの物質に対して過剰の免疫反応を起こすことを指します
http://publichealth.w3.kanazawa-u.ac.jp/outline/sampo.no.40.pdf
ちょっと難しいですね…。
「以前に暴露して感作された物質」 と言われても私にはよくわかりませんでした。
でも後半部分を読めば、理解できそうです。
例えば花粉症。
本来無害なはずの花粉ですが、体内で過剰の免疫反応が起きてしまった場合、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった症状を引き起こしてしまう。反応するはずのない物質に体が反応してしまう状態ということですね。
本当に増えてるの?
1992年から1994年にかけて実施された厚生科学研究の全国調査「アレルギー疾患の免疫学研究」によると、日本の約3人に1人がなんらかのアレルギー疾患を持っていることがわかったそうです。
その後、2008年の調査では、日本の約2人に1人がなんらかのアレルギー疾患を持つことがわかりました。主に、花粉症などのアレルギー性鼻炎と喘息が増加しているそうです。
引用:厚生労働省健康局がん・疾病対策課「アレルギー疾患の現状等」(平成28年2月)
わずか14年の間に、人口の3割から5割へと増加したということですね。これは急増と言えそうです。
参考:リウマチ・アレルギー対策委員会報告書(平成17年10月)
参考:リウマチ・アレルギー対策委員会報告書(平成23年8月)
アレルギーの原因は?その1「衛生仮説」
アレルギー疾患増加の原因として一番に言われているのが、「衛生仮説」というものだそうです。
簡単に言えば、戦後の経済発展により衛生状態が良くなったことで、免疫が過剰に働くようになったのではないかという説。
例えば以下のようなことが挙げられています。
- 細菌感染や寄生虫感染を減らし、同時に体に必要な細菌まで減ってしまったこと
- 少しの風邪や胃腸炎などでも抗生物質を飲み、体に必要な細菌まで殺してしまったこと
- ひと昔前では考えられなかった無菌食品(レトルト食品など)が増えたこと
- 清潔が好まれ、砂場遊びなどが減り、寄生虫と接する機会がなくなったこと
確かに、この頃「除菌・抗菌」をうたう商品が増えてきました。
不潔でいることでアレルギーが予防できるわけでは無いので、衛生状態は良いことに越したことはないのですが、本来体に必要な細菌までを落としてしまっているのではないかというのです。
そして、あまりに衛生状態をよくしてしまうのも、人間にとって実は不自然なのではないかという意見も見かけました。
最近、人が握ったおにぎりは気持ち悪くて食べられないという日本人が増えていると聞きました。確かに手で握ったおにぎりには雑菌もたくさんいることでしょう、しかし人間は長い歴史の中でそうした雑菌だらけのものを食べて生きてきたのですから、いつまでも放置しても容易に腐敗しないような食品を食べることの方が、むしろ不自然といえます。
引用:「衛生仮説」アレルギー疾患の増加は環境が衛生的になったせいなのか?
清潔も大切ですが何にでも無菌や除菌を求めていると知らず知らずのうちに、人類を長年助けてきてくれた大切な旧友(菌友)を見捨ててしまっているのかも知れません
http://www.nipponclub.co.uk/clinic/information/pdf/nipponclub201412.pd
清潔さを求めるにしても、人の体の害にならない程度にバランスよくというのが大切なのかもしれませんね。
アレルギーの原因は?その2「家の密閉化」
「昔の家は風通しが良くて、夏は涼しいけど冬は寒い」
こんな話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
木造の家に土の壁、紙の障子などは、通気性がよく、また湿度調節の役割も担ってくれていました。
最近の家は機密性が高く、冷房や暖房が効きやすい造りになっています。
人間が快適に過ごせるようになった一方で、ダニやカビなどのアレルゲンにとっても心地の良い環境になってしまっているそうです。
でも今更、昔の家の寒い冬には戻れませんよね…。
そこで以下のような対策を取ることが推奨されています。
晴れた日に換気をする
特に梅雨の時期などは、空気の入れ替えをしましょう。押し入れやクローゼットの中も忘れずに!
畳やふとんを天日干しする
湿度が下がって、ダニの繁殖を抑える効果があるそうです。取り込むときに叩くのは、死骸などを細かくしてしまい、奥に入り込んでしまうこともあるそうで、掃除機をかける方が良いようです。
カーペットを使用しない
吸水性があり部屋の湿度をあげてしまうので、機密性の高い家ではフローリングの方が良いようです。
アイロンのスチームや乾燥機は有効!
ダニは熱に弱く、50℃以上で20〜30分加熱すると死滅するそうです。
アレルギーの原因は?その3「皮膚のバリアー機能の低下」
「乳児にピーナツバターのアレルギーが起き、調べると肌に塗っていたベビーオイルにピーナツオイルが含まれていた」という事例が、イギリスで起こったそうです。
国内でも、せっけんに含まれていた小麦のたんぱく質が元で小麦アレルギーになるという例もあったそうです。
食物アレルギーの原因となるアレルゲンは皮膚からも侵入するという説があります。そして、皮膚のバリアー機能を高めることで、予防したり治したりできるのではないかとも言われています。
対策としては、保湿剤を塗ってバリアー機能を高めることと、体をあらいすぎるのをやめること。
「人間の皮膚は軽く水で流すだけで汚れが落ちるようにできている」とのことです。
今、私たちの生活の中で「体臭」は嫌われる傾向にあります。そのため過剰な洗いすぎが発生し、本来体を守ってくれているバリア機能が弱くなっているのかも知れませんね。
アレルギーの原因は?その4「腸内細菌の減少」
アレルギーと腸内細菌の関係を指摘するお医者さんもいます。
日本人の腸内細菌の数は、数年前の半分以下に減っているのだそうです。
たとえば生まれてすぐにアトピーになる赤ちゃんの腸内細菌の数は、非常に少ないのだとか。そのような理由から腸内細菌の数がアレルギーの一因になっているのではないかと考えられています。
私たちの腸内は、大きく分けて3つの菌が活動しています。
体に良い働きをする「善玉菌」
ビフィズス菌や乳酸菌など。お腹の調子を整えます。
体に悪い働きをする「悪玉菌」
脂質や動物性タンパク質を好み、便秘や下痢などのお腹の調子を悪くすることがあります。
どちらにも属さない「日和見菌(ひよりみきん
善玉菌と悪玉菌の、多い方に味方します。
お腹の中に善玉菌をただ増やせば良いのではなく、特に赤ちゃんの場合には悪玉菌も免疫力を高めるためには必要な要素なんですって。細菌の数ではなくバランスが大事。
私たちの腸内細胞は、生まれて1年以内の生活環境で決定され、それが指紋のように一生変わらないということもわかっているそうです。この大切な生後1年未満の間に、菌と触れることも大切なんだそうです。赤ちゃんがいろんな物を口にしてペロペロ舐めるのは、菌をカラダに取り込むための本能的な行動なのではないかと言われています。
出典:腸内フローラって、何?
また最近「母親の保有しているビフィズス菌が子供に受け継がれる」という研究発表もあるそうです。身近に接する大人の持つ菌の影響が大きいのだとか。
出典:アレルギー病はなぜ増えたか−きれい好きの功罪検証−
出典:アレルギーの患者さんはなぜ増えているのか
では、お子さんのアレルギーを予防するためには、まずはご両親の腸内環境を整えるということですね!
パパとママの腸内環境を整えるためには、以下の点に気をつけると良いそうです。
毎日の食生活で腸内環境を整える
「善玉菌を含むものと、善玉菌のエサになるもの」の両方を一緒に食べる。
善玉菌を含むのは、納豆やヨーグルト、味噌、チーズなどの発酵食品です。善玉菌のエサになるものは、野菜や豆、キノコや果物といった食物繊維とオリゴ糖です。
自律神経の乱れを整える
腸の働きをコントロールしているのも自律神経です。自律神経のバランスが乱れると腸の動きも乱れます。しっかり休息することと、適度に運動することが大切です。
腸細菌や腸粘膜を痛めつけるものを摂らない
抗生物質や食品添加物、化学物質はできるだけ摂らないようにする。
まとめ
今回のブログでは、アレルギーの原因と言われている4つの影響についてまとめました。
- 衛生状態が良くなりすぎてしまい、菌に触れる機会が減り、免疫が過剰に反応するようになった。
- 家の構造が変わり、ダニ・カビが繁殖しやすい環境になってしまった。
- 知らず知らずに皮膚からアレルゲンを摂取している場合があるので、皮膚の保湿が大切。
- 腸内細菌が減った。
あまり、除菌や抗菌に神経質にならず、適度に菌と付き合った方が良いようですね。
すぐに生活を変えるのは難しいので、できることから少しずつ心がけてみましょう。