「あれ、お財布どこに置いてきたかしら?さっきまでここにあったのに」
ふとした瞬間に何をやろうとしていたのか忘れてしまったり、今持っていたものがどこかへ行ってしまったり、歳をとるとそんなことが増えてきます。
あれ?これって認知症なのかしら?なんて症状があると、軽い症状とはいえ誰でも心配になってきますよね。
今からでも認知症を予防して、快適な老後を過ごしたいものです。
認知症予防の方法は、トレーニングや生活習慣改善などいくつかありますが、食事で予防が可能な時代になったのをご存知ですか?
ここでは、認知症を予防するために大切な栄養素を含む食材と、アルツハイマー病を予防できる「マインド食」について解説していきます!
目次
認知症の予防はできるの?
2015年1月の厚生労働省の発表によりますと、日本の認知症患者数は65歳以上の高齢者の7人に1人とのこと 。認知症の前段階である「軽度認知障害」も入れますと、高齢者の4人に1人が認知症あるいはその予備軍ということになります 。診断された人だけでもこの人数ですから、受診していない人も含めるとかなりの数。
そんな人ごとではない認知症ですが、予防する方法はあるのでしょうか?
実は、この認知症予備軍の時期に、運動や対策を取ることが有効なんです。ですので、早めに認知症を予防する食事をとって対策していきましょう。
認知症に有効な食材とは?
認知症予防に効果的だと言われている栄養素があります。
ここでは特に有効だと言われる栄養を含んだ食品をまとめてみました。日々の食事に意識して取り入れていきましょう。
《DHAやEPAの多く含まれる青魚》
マグロ、イワシ、サンマ、サバ、ブリなど青背魚に含まれるDHA、EPAは、記憶力や判断力をアップさせ、認知症予防に効果があります。アルツハイマーには効果的だと言われ、脳細胞の働きを助ける「NGF」(神経成長因子)を増加させる役割もあります。
マグロのトロや、カブト煮の目の裏のゼリー状のところには、特にDHAがたくさんあるんですよ。
うなぎやサケ、すじこにも入っていますし、手軽に摂るなら、「サバの水煮缶」 や「サンマの蒲焼き」などの缶詰でもOKです。
調理法は、お刺身が一番有効で、煮たり焼いたりすると、20パーセントが揚げ物にすると50パーセントが煮汁や揚げ油に溶け出してしまいます。
オメガ3脂肪系なので、酸化しやすい油NOため、「抗酸化作用」のあるビタミンC、E、ポリフェノールなどを含む食品と一緒に摂りましょう。
《大豆製品》
大豆製品(みそ、醤油、豆腐など)に多く含まれているレシチンや大豆イソフラボンも認知症に効果的です。
大豆イソフラボンは、更年期障害の軽減や、骨粗しょう症予防、アンチエイジングにも効果があります。
レシチンは、コレステロール値を下げ、動脈硬化を予防、脳を活性化、肝臓のサポート、やはりアンチエイジングと4つの効果があります。
日頃から取り入れたい食材である大豆製品。味噌、醤油なら日頃から使われていると思いますが、塩分も多いので、使いすぎに気をつけて。
調味料の他にも、大豆製品である豆腐や厚揚げ、納豆をメニューに増やしていきましょう。豆そのものを手軽に食べるなら、水煮缶の大豆をスープや味噌汁、サラダにトッピングするのも簡単で美味しくいただけますよ。
《オリーブオイル》
オリーブオイルは抗酸化作用から老化予防が期待され、動脈硬化予防、アルツハイマー病にも効果的と言われています。
その中でも、酸度が0.8%以下のエキストラバージン・オリーブオイルを選びましょう。
酸化しないように、なるべく小さいボトルを選んでください。
あの独特の匂いが苦手という方も、普段の炒め油をオリーブオイルに変えてみたり、納豆に入れてみたり、スープや味噌汁に入れてみるというのも一つの方法です。意外と気になりませんよ。
《ナッツ類》
ナッツはエネルギーの塊です!高カロリーだから、あまり摂らない方がいいのでは?と思われがちですが、ナッツに含まれる一価不飽和脂肪酸というのは良質な油なのでぜひ取り入れてほしい食品です。
ナッツ類に多く含まれているオレイン酸、α-リノレン酸、ポリフェノールが認知症予防にとても効果的なんですよ。
オレイン酸は、老化の元となる活性酸素を体内で作りにくくしてくれます。
α-リノレン酸は、くるみに多く含まれており、コレステロール値を低下させ、心血管疾患にも有効。不整脈を改善する作用もあると考えられています。
ポリフェノールは、ガンや心臓疾患などを予防する効果が期待されています。
手のひらほどの量なら大丈夫。素焼きの味のないものを選んで塩分を摂りすぎないように。
そして、酸化しやすいので、封を開けたらなるべく早く新鮮なものを食べましょう。
《コーヒー、赤ワイン》
コーヒー、赤ワインには強力な抗酸化作用のポリフェノールが含まれているため、老化、動脈硬化、高血圧、認知症予防を期待できます。
コーヒー、紅茶、などに含まれるカフェインにも、認知症予防の効果があると認められており、「アミロイドβ」というアルツハイマーを発症する物質の働きを鈍らせてくれる効果もあります。ただし、カフェインは摂りすぎると神経過敏になり、かえって認知症を招く恐れもありますから、摂りすぎには注意をしてください。
《緑茶》
新茶にはカフェインだけでなく、テアニンも多く含まれています。テアニンは、血圧上昇を抑制し、脳の神経細胞を保護したり、認知機能の低下を抑える作用があると言われているんですよ。
《カレー》
カレー粉に含まれているウコンにも強い抗酸化作用があり、アミロイドβが脳内にたまる速度を鈍らせてくれる作用がありますから、普通のカレーに、さらにウコンを小さじ一杯入れてみると、なお効果的です。
認知症予防に効果的な食事とは?
2015年にアメリカのラッシュ大学医療センターの研究から、アルツハイマー病を予防する食事法「マインド食」が発表されました。
日本人の食事スタイルにも取り入れやすい食事法ですので、ご紹介しますね。
認知症予防に新たな効果が期待される「マインド食」は、複数の栄養素を食事に取り入れることで、アルツハイマー型認知症の原因となる肥満や高血圧、高コレステロール、循環器病、糖尿病を予防できるとのことです。
健康的な減量方法として医学会で注目を集めている「地中海式食事法」に、高血圧を防ぐ「ダッシュ食」を合わせたものです。
ここで発表されたのは、脳の健康を保つのにオススメの食材10品目と、控えたい5項目で、これらを意識して提示された頻度でなるべく摂っていきましょう、というのが、「マインド食」になります。
「マインド食」のオススメ食材10項目+避けたい食材5項目
《オススメの食材》
- 緑黄色野菜(週6日以上)
- その他の野菜(1日1回以上)
- ナッツ類(週5日以上)
- ベリー類(週2日以上)
- 豆類(週3日以上)
- 全粒穀物(1日3回以上)
- 魚DHA・EPA(なるべく多く)
- 鶏肉(週2日以上)
- オリーブオイル(優先して使用)
- ワイン(1日グラス1杯)
《避けたい食材》
- 赤身の肉(週4日以下)
- バター(なるべく少なく)
- お菓子(週5回以下)
- チーズ(週1回以下)
- ファストフード(週1回以下)
注)塩は1日6グラム未満
これらを15項目中9項目以上を達成でも、アルツハイマー型認知症の発症リスクは5項目以下の人達に比べて53%減ったそうです。半分程度を実行した人でも、3割ほど減少したといのですから、この食材を意識すれば、かなり認知症に効果が期待できそうです。
まとめ
認知症予防の食材と新しい食事法ということでまとめてきました。
認知症予防に一番効果的なのは、ご紹介した食材の一つに偏るのではなく、満遍なく栄養素を取りこんで食べるということです。
無理なくつづけるために、食用油をオリーブオイルに変えたり、赤身の肉から少しずつ魚を買うように変えていくといった、そんな小さなステップでも効果がありますよ。
日本人は塩分が少し多めという以外は、「マインド食」に近い食事ができていると思いますので、「マインド食」に書かれた食材から、ご自宅の食事で足りないものを意識して、摂ってみてはいかがでしょうか?
毎日の食事を少しずつ食材を変えていくことで、無理せず手軽に認知症予防 をしていきましょう。